インタビュー
ヴォイスアーティスト・相川陽介~65分の「声」に秘められた真の想い~
2010.04.16[インタビュー]
あなたは「ヴォイスアーティスト」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
己の声を生業にし、人々を感動し、共感の渦へと巻き込む世にも珍しい職業、それがヴォイスアーティストである。己の声を伝え続けて早4年。その地道な活動が実を結び、今では雑誌の取材が舞い込むほど。相川陽介が伝え続けた「声」は、少しずつ、しかし確実に大きな形となっている。
今回、DI-VEではそんな相川陽介の「生の声」を聞くために恵比寿にあるオフィスに伺った。
ヴォイスアーティストをはじめようと思ったきっかけ、インタビューの最後に口にした大いなる野望・・・
回り道を経て自分のやりたいことを実現し、その道を突き進むヴォイスアーティスト・相川陽介の「声を通じて伝えたい、真の想い」に迫った65分だ。
相川陽介(あいかわ ようすけ)
株式会社ソラオト 代表取締役
九州生まれ九州育ち。早稲田大学法学部、勇退。2006年7月17日より、声の芸術家として活動開始。世界一のヴォイストレーナーと呼ばれるエドウィン・コパード氏の個人セッション受講、昭和の一時代を築いた元NHKアナウンサー酒井広氏より朗読指導受講。また、日テレ俳優養成所にて研鑽を積む。
2010年2月現在、通算朗読会回数約300回。通算観客動員数約25000人。また、話し声・スピーチヴォイストレーナーとして、ビジネスパーソン中心に、のべ500名を指導。IT企業、美容専門学校、生保関連企業など企業研修導入実績あり。
【主な実績】7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム
「ヴォイスアーティストになるなんて、
つい最近まで考えてもいなかった」
──ヴォイスアーティストとして活動される前は、どういったことをされていましたか?
この話は1時間半ぐらいかかりますが…大丈夫ですか?(笑)それは冗談として、ヴォイスアーティストの活動をはじめる以前は営業マン、コンサルタントをやっていたんですけど、国連事務総長になるのが目的だったんですね。ちょうど僕が高校3年生のときにパレスチナ紛争が起こったんですけど、これを見て「誰かが何とかしなきゃ!」と。それで、こういった問題を解決できるのは自分しかいないんじゃないかと思って(笑)国連事務総長という役職がそれを解決できうる立場なんだと思い込みました。
で、このときはコフィー・アナンが国連事務総長を務めていたんですけど、彼の経歴を調べてみるとアメリカの大学を卒業した後に2年ぐらい企業で働いていたんですね。じゃあこのコースで行こうということで、大学に入ったわけです。
──大学では何を専攻していたのですか?
平和学です。日本で数えるぐらいしかないマイナーな学なんですけど、紛争解決・貧困問題解決といった学問体系を合わせて平和学と言うんです。ちなみにこの学問を始めたのがヨハン・ガルトゥングという人で、ちょうどその時期に日本に来ていたんですよ。これは絶好のチャンスと思って、講義を受けたあとには即弟子入りを志願していました。
まあそこでは断られちゃったんですけど、優秀な弟子がいるからそいつの弟子にしてやるということで話を通してくれたんですけど、場所がルーマニアだったんです。おいおい、いくらなんでも遠いじゃねえかと(笑)
──実際にルーマニアには行ったのですか?
2ヶ月ほどいました。平和学を彼のもとで勉強していたんですけど、ある夜、「平和とは?」という深い話になったんですよ。僕は「ヨハン・ガルトゥング先生がおっしゃるような構造的暴力のない…」と言ったんですけど、その弟子は「陽介。平和とは、共感する心なんだよ」と。てっきり万能の解決策があると思っていたので、ちょっとショックだったんですね。「心の平和って何だろう?」って。それで、日本に帰ってきてからもなんだか身の入らない状態が続いてしまって。
──その頃はまだヴォイスアーティストという道は考えていなかったのですか?
はい。ただ、独立願望だけは強かったので営業、コンサルと経験して、資本金もある程度たまったので独立してみようと。そのとき学生時代からお世話になっていた鈴木惣士郎さんという心の専門家の方にコンサルをしてもらっていたんですけど、その会話のなかで大きな転機が生まれたんですね。「今まで独立だとか平和とかいっていたけど、実は僕はこういうことをしたい。こういう夢を実現したい」と鈴木さんに言ったら、「我慢しなくていいんだよ」とおっしゃってくれたんです。
「もともと自分の声はコンプレックスだった」
──相川さんのなかに、本当にやりたいことを我慢していたもうひとりの自分がいたんですね。
これって、もとを辿れば小学生の頃から思っていたことなんですよね。僕は「相川」という名前なので国語の授業の朗読でよく当てられていたんですよ。出席番号がいつも一番なので(笑)で、いざ読んだら先生が僕の朗読を誉めてくれて。そのとき、子供心ながらに「もしかして、オレって話すの上手いのかな?」と。それがヴォイスアーティストとしての原点だったんですよ。
──小学生のときに抱いたその気持ちを忘れてしまっていた理由はありますか?
「平和に貢献しなければならない、世の中の役に立つ人間にならなければならない」という気持ちが、本当にやりたいことを阻害していたのは確かですね。もちろんその気持ちは全然あっていいことなんですけど、鈴木さんの言葉を聞いて自分の本当の気持ちを阻害していた氷がフワっと溶けたという感じでした。
──ヴォイスアーティスト・相川陽介の誕生ですね。舞台の上で自分の声を通じて、自然や愛の美しさを伝える朗読をやりたいという気持ちはずっとあったんですが、それを自分ができるのか?そもそもやっちゃっていいのか?という気持ちがあって。鈴木さんに「君が幸せになることがスタートだよ」と言われて、一度きりの人生だし、自分がやりたいことをやってみようと決心したんです。
──声を仕事にするというのは難しいことだと思いますが、自分の声に自信がないとできないことですよね。
よく「相川さんはもともと声が良いからこの仕事ができるんですよね?」とか聞かれるんですけど、実は自分の声はずっとコンプレックスだったんですよ。
学生時代は剣道部に所属していたんですけど、そこで自分の声をしょっちゅうバカにされていて。
運動部って、練習中に声を出すじゃないですか。だから運動部のヤツはもっと声が出ていいはずなんですけど、当時の僕の声が低くてこもっている声だったので、全然声のハリがないんですよ。
そんな感じだから、普段の会話でもよく「えっ?」って聞き返されていましたし、それがストレスでしょうがなかったです。「腹から声を出せ!」ってよく言われましたけど、そんな根性論で言われても出せないモンは出せません(笑)
──意外ですね。今ではまったくそんな面影がありませんが・・・ヴォイストレーニングか何かで自分の声を変えていったのですか?
はい。転機となったのが大学時代で、あるとき司会者をやってくれと言われたことがあったんですね。「さすがにこれはちゃんと声を出さなきゃダメだろう」と思って、そのときからヴォイストレーニングを始めて。そしたら、低い声をしっかり通す方法が自分なりにわかってきたんですよ。その声を手に入れてから、大学のプレゼンの授業とかでも周りから「相川君って良い声してるよね~」とか言われてはじめて、声に関して完全に目覚めたんです。
──現在では、渋谷で「朝時間ヴォイストレーニング」等の活動を通じて、完全にヴォイスアーティストとしての地位を確立されていますね。
この仕事を通じて気づいたことなんですけど、「声」って、その人の心の状態を如実に表すと思うんです。たとえば営業マンが大きな声で「ただいま戻りました」というのと小さな声で自信なさげに「ただいま戻りました…」というのは明らかに違うじゃないですか。それは面接でも同じで、やはり自信のある声とそうでない声というのは面接官に見抜かれてしまいますよ。
「30分あれば、声の変化は感じられる」
──面接といえば、相川さんは「7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム」という教材を執筆されていますが、やはり面接において声は重要だと感じますか?はい。本教材では形としては「学生さんが面接で内定を取るためのヴォイストレーニング」ということを紹介していますが、全体の8割は実際に社会人になってからのスピーチ、プレゼンといった話し声系です。普通、ヴォイストレーニングというのは歌手がやることなんですけど、僕自身がヴォイスアーティストとして活動していますので、それを活かして面接、ひいてはプレゼンといったビジネスの現場で通用する「本物の声」を会得する方法を伝えてみようかなと。
──「7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム」を実践したとして、たった一日であっても効果は実感できますか?
単純な声の変化ということであれば、30分あれば十分声の変化は感じられます。ただ、30分では翌日には消えてしまいます。2日に1回だけでも時間をとって、3ヶ月実践することができれば抜本的に声が変わって、自分が望む理想の声が出せるようになるはずですよ。
──声を一時的に変えられるということであれば、急なプレゼンや一週間後に迫った結婚式のスピーチなどでも役立ちそうですね。
プレゼン30分前でも十分効果はあると思いますよ。特にああいう場面だと緊張で声が上ずってしまうこともありますし、そういうことが多い方ならなおさら良いかもしれない。そもそも、3分程度で実践できるようなことを「7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム」には詰め込んでいますので。
あと、さきほど「腹から声を出す」という話があったかと思いますが、あれもちゃんと説明することができるはずなんです。それを根性論で「腹から声を出せ」といわれても無理じゃないですか。だから、ここをこうして、ここの筋肉を使ってということを正確にお伝えするのが僕の役割だと思っています。
「面接で受かる学生の声には8つの特徴がある」
──「7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム」を実践された方から、何か嬉しい声などはありましたか?
面接もそうですが、むしろスピーチやプレゼンで声の印象が変わったことで良い結果が出た、という声はいただいていますね。ただ、教材では面接に特化していますが、結局面接というのは自分自身をプレゼンする場なので。そこで相手企業が意識していることというのは、実際に話したときのコミュニケーション能力とか「この人と一緒に働きたい」と思うかどうかです。そこで暗い声だと印象は落ちてしまうじゃないですか。ちなみに僕が調べたなかで、「これでは企業は採用してくれないよな」という声の要素が、最低7つあるんですよ。
──その7つの要素とは?
まずひとつ目が「暗い声」。声が暗い人とは仕事がしにくいですよね。ふたつ目が「思いやりがない、自分勝手な印象になる声」。その3が「元気のない声、エネルギーの低い声」。その4が「ネガティブな声」。言ったことすべてを否定しにかかってくるとかですね。その5が「なんだかハナにつく声」その6が「健康上に不安があるような声」。たとえば入院しているような人が元気な声を出せるかといわれれば難しいじゃないですか。まあ、要するに声が小さいということです。で、最後が「信頼感のない声」。しゃべっているときに声が上ずったりするのが特徴です。
──反対に、「面接で受かる学生の声」の特徴はありますか?
はい、もちろん。これには8つあって、まずひとつ目が「元気な声」。一緒にいて元気をもらえるような声です。ふたつ目が「明るい声」。就職活動をしている学生さんは若いですから、元気さがあったほうが当然いいので。その3が「エネルギーの高い声」。その4が「前向きさを感じる声」。その5が「行動力を感じさせる声」。
その6が「相手への思いやりがある声」。声に緩急強弱をつけたりといったことです。その7が「素頭が良さそうな声」。そのときの状況を判断して声を使い分けるといったことです。最後が「信頼感のある声」。信頼感が薄い人との比較で言うと、信頼感のある人の声は体に響くんですね。そのあたりが内定を獲れる人の声の特徴かなと思います。
「仕事ができる人は声が明るい」
──相川さんが初対面でその人の声を聞いたとき、声だけで「この人仕事できそうだな」というのは分かってしまうものですか?
すべてが分かるわけではないですけど、仕事ができる人は声が明るいという共通点があると感じますね。声が高い低いじゃなくて「明るい」です。あと、声には面白い特徴があって、たとえば車とかそれこそ1000万円もするような高付加価値商品を扱う際には声は低くて落ち着いたほうがいいんですよ。
重要な決断をするときに高くて速い声だとちょっと・・・って思っちゃいますよね。あの声が許されるのはジャパネットの高田社長だけです(笑)あの人は天才ですよね。
もちろん高くて速い声が向く商売もあって、それは八百屋さんとか家電量販店の店員のような、いわゆる「BtoC」一般のお客様を相手にする商売です。八百屋さんが低くて落ち着いた声で「いらっしゃいらっしゃい」と言ってもちょっと怖いじゃないですか(笑)
──相手によって声の質を使い分けることが大切なんですね。
そうですね。ちなみに去年から「モテ声」というものも調べていて、「男性の第一印象でコレが重要だと思うポイント」というアンケートをとったことがあるんです。そしたら、一番に選ばれたのが「爽やかさと清潔さ」だと。これを低い声で表現するのは難しいですよね。明るい声を出しつつ、重要なときは低くてゆったりとした声で緩急強弱をつけて話す。それさえできていれば、面接で好印象はもたれるし、普通に受かるでしょう(笑)
「オバマ大統領と鳩山総理大臣の声の違い」
──男性と女性とでは声の質が違うと思いますが、それぞれどんな悩みを持った方が相談に来られますか?
女性でよくあるのは「アニメ声」ですね。アニメ声はビジネスプレゼンではメチャクチャ不利なんですよ。声で舐められてしまうというか…声というのは骨の空間で響くんですけど、鼻を使うとアニメ声のような高い声になります。あと、咽頭を使うと比較的低い声になりますね。ビジネスにおいてプレゼン上手な人、コミュニケーション能力の高い人は無意識のうちに「声の使い分け」をやっているんですよ。
──他に声についての豆知識のようなものがあれば教えていただきたいのですが・・・
たとえば、オバマ大統領。あの人のプレゼンってもの凄く人を惹きつけるじゃないですか。それで気になって、オバマ大統領と鳩山さんの演説、それに歴代の総理大臣の演説とを比べてみたんですよ。そしたら歴代の首相がしてきた演説と鳩山さんの演説とでは、今のほうが格段にレベルが上がっているんです。あと、オバマさんと鳩山さんの声の違いを挙げると、圧倒的にオバマさんのほうが声が低いですね。ちなみにオバマさんは身長が187cmあるんですけど、「身長が高くなればなるほど声が低くなる」という傾向があるんですよ。
──それでは最後に「7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム」を実践しようとする方に、アドバイスをお願いします。
「面接で合格する」ということだけがこの教材の目的ではありませんし、声だけですべてが変わるというわけではありません。ビジネスであっても勉強であっても、自分の内側にあるものを問いかけて、それを磨いていく。その手段のひとつとして「7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム」があるので、実践して自分のモノにしていくことで自分自身を成長させていってもらいたいなと思います。
あと、自分の野望としては実はいま「情熱大陸」の出演をリアルに狙っています。ヴォイスアーティストとしての活動を通じて、少しずつ世の中に対して仕掛けていきたいですね。
相川陽介(あいかわ ようすけ)
株式会社ソラオト 代表取締役
九州生まれ九州育ち。早稲田大学法学部、勇退。2006年7月17日より、声の芸術家として活動開始。世界一のヴォイストレーナーと呼ばれるエドウィン・コパード氏の個人セッション受講、昭和の一時代を築いた元NHKアナウンサー酒井広氏より朗読指導受講。また、日テレ俳優養成所にて研鑽を積む。
2010年2月現在、通算朗読会回数約300回。通算観客動員数約25000人。また、話し声・スピーチヴォイストレーナーとして、ビジネスパーソン中心に、のべ500名を指導。IT企業、美容専門学校、生保関連企業など企業研修導入実績あり。
【主な実績】7日後に面接で内定をとる 脱・面接音痴プログラム



