インタビュー
9月特集【後編】『世界を股にかける手数王』菅沼孝三氏インタビュー
小さな頃から天才ドラム少年として活躍し、15歳でプロデビュー。CHAGE&ASKAのレギュラードラマーを勤めた経験も。そして現在、その活動の幅は日本にとどまらず、世界でも数多くのミュージシャンと共演している。
そのテクニックから生み出される高速プレイや変則プレイから、ついた異名は『手数王』。
今回は、手数王・菅沼孝三が真正面から向き合い、また愛し続ける『ドラム』の魅力、
そして今後の展望などをうかがった。

──現在菅沼さんは『菅沼孝三ドラム道場』を運営されていますが、これを始めたきっかけはありましたか?
20歳ぐらいからドラムを教えていたんですが、『教えたい』というところから始まったんじゃなくて、周りに習いたいっていう人達が僕のドラムプレイをライブで見て『これ、どうやってやるの?』みたいに聞かれて、『じゃあ、うち来る?』みたいな感じから始まりました。そこからどんどん教えに行く場が増えて、ちゃんとした音楽教室からも声がかかるようになったことで『教え業』が定着しました。
──『菅沼孝三ドラム道場』の特徴を教えてください。
2年間のカリキュラムを使ったりしてある演法をやるのが普通ですけど、うちは他のスクールと違って、どんどん新しい奏法を取り入れているんですね。というのも、時代の流れと共にどんどん奏法は変わってくるんですよ。今は逆にモーラー奏法とかも見直されたりしているので。でも、大手はそういう物をやらないので、個人のスクールだからこそ、そういうものを取り入れてやっていきたいですね。あと、曲とかも今流行っているものを取り入れたり、ラテンからキューバ、カリプソ、ジャズも取り入れています。
※モーラー奏法とは
サンフォード・ A・・モーラー(アメリカ1879~1961)が1920年台初頭に体系化し、発表した奏法
──『菅沼孝三ドラム道場』オリジナルの教え方などはありますか?
う~ん、『スティックを楽に振れるようになるためのリバウンドの使い方』ですかね。ドラムの整体師のような方がいて、そういう先生を年に1回呼んで指・手首・肘・肩の使い方を教えていますね。その人に習うと1年間楽になるんですよ(笑)
──生徒さんにドラムを教えていくなかで、難しいと感じる部分はありますか?
グループレッスンですと、どうしてもみんなが満足して帰るというのが難しいんですね。もちろん、みんなが満足してくれるときもあるので、そのときは良かったな、と思います。
ドラムって、ゆっくり叩けば誰でもできるんです。
特に日本人は理解力があるほうだと思っていて、難しいテキストでもまず理解できるので、テンポを落とせば叩けるんです。だからうちのレッスンは、上級者と初級者の内容は近いんですけど、テンポが違うんですね。
初級者には嫌になるぐらいゆっくりやらせて、
体に染み込ませて少しずつテンポを上げていくという方法で教えています。
──ずばり、ドラムの上達を教えてください。
ん~やっぱりね、調子に乗ってやらないと駄目だと思います。何もふざけろっていうわけじゃないですけど、『ノリノリ』でやらないとノリって出ないんですよ。その道を極める的なストイックな考え方も必要だけど、やっぱり楽しまないと。跳ねたドラム音の感じとかは、やっぱり気持ちが跳ねてないと跳ねて聞こえないっていうか。
なんか、日本人って奥ゆかしい部分があるじゃないですか。海外に行ってクリニックをやったときに『叩きたい人?』と聞くとほとんどが手を上げるんですね。でも、日本で『叩きたい人?』って聞くと、ほとんどが気配を消すんです(笑)
だから、これからやる人も『この曲は勉強してから...』じゃなくて、『俺がやりたい』ってどんどん手を上げて、果敢に叩いてみることで、そこから学んでいくのがいいんじゃないですかね。
──今回『ドラムの達人!手数王式60日短期集中ドラムメソッド』を出されたわけですが、教材や教則を出す際に気をつけているポイントなどはありますか?
ドラムはリズムの楽器なので、基本のマーチングの技術をどれくらい入れ込むかを考えていますね。
マーチングの技術を代表するルーディメンツは「難しい」というレッテルを貼られていますが、その装飾音符(たとえばフラム、ラフ、ロール など)自体の種類は少ないんです。
しかし、その装飾音符の組み合わせ のバリエーションはあり得ないほど多く、180種類以上になります。
その数多いルーディメントを与えられた時間で、どうやって練習するのかというのは課題ですね。
結局、ドラムの練習方法は『音符をずらしていくか、増やしていくか』しかないんですね。
それを効率よくやり残しの無いように組み立てるというのをポイントにしています。
──楽器をはじめたいけど時間がないとか、誰に習っていいかわからないという人にメッセージをお願いします。
とにかくドラムは間口の広い楽器なので、入りやすいです。8ビートが叩けたら何万曲も叩けたも同然ですね。というのも、世の中の音楽の8割は4拍子なんですよ。そしてその中でも8ビートの曲が圧倒的に多いので、パターンを覚えるだけでいろんな曲が叩けるようになります。
僕が思うに楽器って、自分がやりたいことを伝えるひとつのツールだと思うんです。たまたま僕はドラムだったというだけで、自分のイメージを形にしたかったり、『こんなのがやりたい』という物があれば、それを表現できるように練習すればいいんですよ。
まずは、とにかくはじめてみる。そして、はじめたら楽しむ。楽しむことをしないと続かないし、
面白くないでしょ?遊ぶつもりでやったらいいと思いますよ。
──最後に、これから『手数王』菅沼孝三としてやってみたいことを教えてください。
この頃、僕がリリースするのはDVD作品が多くなっているので、CDを作りたいですね。
ソロアルバムです。
ただ、僕がやりたい民族打楽器とかディジュリドゥを入れ過ぎても喜ばれないので(笑)
みんなの望む「ゴリゴリのドラムアルバム」の中に独自のエッセンスとして民族色を入れたいですね
あと、純粋に「JAZZのアルバム」も作りたいし、海外のメンバーともセッションしてみたい。
やりたいことがありすぎて困っています(笑)
本日のインタビューは終始、笑い声が絶えなかった。
『すべてのことを楽しむ』という姿勢をいつでも忘れない。これこそ、プロドラマー菅沼孝三のスタンスなのだろう。『まだまだやりたいことがたくさんある』と語る菅沼氏。これから菅沼氏がどんなことにチャレンジしていくのか、必見である。
9月特集【前編】菅沼氏がドラムを始めたきっかけや、
ハマっていることなどのインタビューはこちらです。
菅沼孝三(すがぬま こうぞう)
大阪で生まれ8才でドラムを始める。
15才でプロデビュー後、数多くのスタジオワーク、
コンサートツアー、セッションに参加する。
自己のドラムスクール「菅沼孝三ドラム道場」を全国6カ所にて主宰。
【菅沼氏関連商品】
『ドラムの達人!手数王式60日短期集中ドラムメソッド』
【お知らせ】
まだまだ進化は止まらない。FRAGILE約3年振り記念すべき10thアルバムリリース!
FRAGILE約3年振りのアルバム『The Sun and the Melodies』リリース決定!
アルバムとしては通算10枚目の記念すべきタイトル(2006年にDVD『modest&proud』発売)前回のアルバム(2006年『Phantom』
)から考え方や音の構築の仕方も一歩先に進んだ、と話すメンバー、さすがは長年のバンドFRAGILE、まだまだ進化は止まらない。オリジナル全10曲ハード・プログレッシブでありながらカラフルでユニークなアルバムに仕上がった。
FRAGILE最新情報はオフィシャルHPへ⇒http://www.uprize.jp/fragile/
◆9月特集【前編】『世界を股にかける手数王』菅沼孝三氏インタビュー



